RoseEnNoir午前零時

ギタリストRose En Noirの日常身辺雑記

これからの正義の話をしよう

TVで紹介されて人気が出たと聞いたけれども、 ハーバード大学マイケル・サンデル教授の講義録 『これからの「正義」の話をしよう』が売れまくっているそうな。 僕も書店で平積みになっているこれを見かけたときはビックリした。 サンデル(以下敬称略)といえば僕が学生時代に専攻した 政治哲学の分野における大物であり 大学の図書館で読んだことを思い出す。 サンデルの他、マッキンタイア、ウォルツァーといった有名な学者は 「コミュニタリアン」という一派で、 僕が支持する 「リベラリズム」とは親戚だけれどもちょっと違う。みたいな感じで 卒業論文の際にもたびたび引用したものである。 その頃サンデルといえば研究者しか知らないようなマニアックな存在で、 まさか一般書店のベストセラーになるとは当時、 思いもよらなかった。 さて、昨今のそんなブームに乗って、 週刊東洋経済誌に「哲学」特集があり非常に興味深かった。 特集では、上に書いた 「コミュニタリアン」「リベラリズム」が分かりやすく解説してあり、 僕も懐かく思いながら読んだ。 上記二つは自由主義ということで「自由」を目的にする 思想ということでは共通なんだけれども、 二つの違いをごく大雑把に言うと、 先発の「リベラリズム」は個人を基本に考えるのに対し、 後発の「コミュニタリアン」が家族や地域共同体を単位にして考えることかしら。 僕は、「リベラリズム」の命題 「正義」は「善」に優先する。というのにガツンとやられて研究したのだった。 「正義」というのは言い換えれば「方法、ルール」のことで、 「善」というのは「価値」と呼ぶべきか。 一方、コミュニタリアンは 「共通善」といって ある程度共同体で共有される価値を念頭に話を進める。 僕の卒業論文は結局、 「リベラリズムがいいけれどもコミュニタリアンの言うことも一理あるよなあ」 といった中途半端な結論で終わったのだけれども、 それには理由があって、 「リベラリズム」は個人の自由を大事にするのが僕は大好きなんだけれども、 自分で責任を持って意志の選択決定ができる 自立した個人が前提にあるのであって、 自立していなかった学生の僕にはちと厳しい内容でもあったのだ。 「コミュニタリアン」はその点、 家族とか地域とかなじみのある集団に立脚して考えるので、 未熟な人間にも価値基準がそこそこわかる。みたいな感じがあって 現実的でもあったのだ。 しかし、大学を卒業して早や8ねん。 30さいの僕としては、やっぱり「リベラリズム」が正しかったと思う。 ほら、よくある小学校なんかでのグループ活動、 僕はあれが大嫌いだった。 たとえば、楽しいはずの遠足が僕にとってそうでもなかったのは、 僕はゴーカートに乗りたいのに 他の班の人がジェットコースターに乗りたいといえば それに従わねばならず、 結果として自分の乗りたい乗り物には半分しか乗れない。 みたいなことが往々にしてあったからだ。 なぜか学校の先生というのは「班」なんかをつくりたがる。 逆に、成績優秀な僕は「班長」的なポストに就くことも多く、 その場合 「フリーフォールがいい」 「お化け屋敷に入りたい」 「休みたい」といったメンバーの多様な意見をまとめなければならず、 そのメンバーも目的を共有した仲間ではなく いわば烏合の衆、 未熟な僕(だって小学生だし)のリーダー技量では 結局自分を含め 「なんかつまんなかった」 という結果を迎えることも少なくなかったのだ。 なぜ個別の行動ではダメなのだろう? こういう個人的な経験が 「コミュニタリアン」がいう「共通善」に懐疑的な理由である。 無論、遠足を無事に引率するには全員に 「何時に集合」「集合場所は時計台」みたいな最低限のルールは必要で、 (それがリベラリズムのいう「正義」なのであるけれども)、 自分にとっての価値の追求はそれとは別問題だと思うのである。 とりあえず、 『これからの・・・』はまだ読んでないが、 FPとITパスポートの試験がひと段落したら読んでみよう。
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マイケル・J.サンデル/菊池理夫勁草書房この著者の新着メールを登録する発行年月:2009年02月登録

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