RoseEnNoir午前零時

ギタリストRose En Noirの日常身辺雑記

凄いおっちゃん

僕はこう見えても一応大工の孫で、

何かを拵えたり壊したり治したりするのは割と得意。

雑だけれどもね。

僕はそんな特技を日常生活でも生かし、

使えない椅子二つから使える椅子一つを生み出したりとかやってます。

その技量は仕事でも遺憾なく発揮され、

本来の経理の仕事そっちのけで、

デスクの鉛筆削りの修理を依頼されてそれに時間を食ったりして

危うく不渡りを出すところだったのですが、

さてウチの会社は創業30余年と歴史があるうえに、

600あまりの従業員が日々営業に奔走し、

痛みつつある社屋の惨状が放置され気味です。

かつてのニューヨークの地下鉄のようにそこここが破壊されている横で

プレゼンも何もあったものではなく、これを憂える僕ら一般職は

この夏に人心の一新を図ろうと、社屋の大修繕にとりかかったのです。

一番ひどい課なんて、

足が折れ傾いたデスク、ドット欠けのディスプレイ、明滅する蛍光灯は薄暗く埃を纏い、

棚板は外れ、壁にはなぜか大小の足跡が。これで仕事をしてました。

各課をまわり、あまりの惨状にさすがに僕の手には追えない。と、

アウトソーシングをしたのですが、これが凄かった。

今日ふらっと外注先のおっちゃん、いや職人さんが現れて、

「どこ治すん」

僕は恐る恐る、

「あのう、プレゼン用デスク8台、カフェテーブル12台、チェア1脚、

 それにあそことあそこの課の棚がこんな風にこわれています」

と申し上げました。

「この棟の1Fからあっちの棟の3Fまでいろんなとこに散らばってます。

 よろしく」

とも付け加えて。

身一つのおっちゃんに対し、あまりの無理難題。

これオレ言われたら卒倒するわ。という暴力的なアポリアを課した

僕ですが、

おっちゃんは平然と

「案内して」

それから丸一日後、瞠目した僕。

もはや産業廃棄物寸前の上記の諸々は、

見事おっちゃんの手によって再生、復活を遂げたのです。

僕も間近で見ていましたが、おっちゃんの技たるや

玄人はだしで、

金槌ドライバーでちゃっちゃっちゃっと処置処置処置。

いままで素人がやった小汚い修理も眼に障ったらしく、

それらも取り除きプロの修繕を加えてくれました。

正直僕が発注した内容より何倍もナイス仕上げ。

ここまでしてもらえるとは思いませんでした。

ウチの街はこの達人を大切にせねばなりません。

これから営業の人らがより仕事がはかどると思うと、

おっちゃんに感謝せずにはいられないのです。