猛省している。
時期も時期だけに
地域住民への利益還元イベントで、
社員がサンタクロースに扮して粗品を配る。催しが企画された。
僕は猛然とサンタクロース役に立候補、
なぜならサンタさんというのは無条件に感謝感激される存在であり、
仕事で有能であるとか無能だとかはあまり問題にならない、
そんな安全牌だからである。
ダイソーで購入したサンタ衣装上下、妻のブウツを借りて行った。
催し会場ではイベントも絶好調、
「それじゃあみんなでサンタさんを呼んでみよう」と
ボルテージも上がりきったところで
僕はプレゼントを振り回して猛然と登場した。
「だらあ。メリークリスマス。アンドユアーマイサンシャイン!」
ちょっと静まりかえった。
マイクを借りた。
「この一体感、この昂揚感。2012年の幕引きに相応しい
イベントに呼んでくれてどうもありがとう!みんなで歌おう!
我らがテーマソング」
ラジカセの電源を入れ、再生ボタンを押した。
ちゃーちゃーちゃーらっちゃちゃ、ちゃーちゃー、ちゃーちゃーちゃー。
「駆けっ子鳶っ子元気っ子、皆んな集まれ平和堂、
腕白坊やも仲良しも、ママの後から従いて行く、
弾む心の、お買い物」
ちゃちゃちゃちゃちゃちゃちゃちゃ
「へ、いわ、どうー」
僕は息を切らしながら熱唱、
オーディエンスからは澎湃と
「さんた」コールが沸き起こった。
その後、上司からさんざんしぼられたのは言うまでもない。