かつては紅顔の美少年だった僕も、
今や押しも押されぬ32のおじさん。
安月給に嘆き、
ローンの返済に苦しみ、
仕事ではうだつが上がらず、
家庭の切り盛りに必死な、
日本のどこにでもいる
おじさんである。
そんな僕を真に
「おじさん」たらしめる事件が発生した。
弟夫婦に子供、つまり僕から見て
「甥」が生まれたのである。
「甥」から見て僕は
「おじさん」、
つまりこれで名実共に
「おじさん」になったのである。
これで僕は、
今まで遠慮していた
「おじさん」向けのジャンルに
堂々と足を踏み入れることができる。
パチンコ競馬といったギャンブル、
ゴルフウェアーのようなアパレル、
リュックを背負ってバスツアー、といった
壮年以上対象のジャンルである。
誰が何と言おうともう僕は真のおじさんである。
今日からダブルのスーツを着ていこう。