RoseEnNoir午前零時

ギタリストRose En Noirの日常身辺雑記

ご当地ヒーロー(2)

こんなことをしている場合じゃないのに。

前回、僕が考えた「ご当地ヒーロー」の、主に悪役である

「黒薔薇団首領ブラックローズ」について構想をまとめたが

今回は主人公である「北摂戦隊イバレンジャー」の設定について

その一部を明かしたい。

商店の前に座り込んだり、

エスカレーターで逆向けに歩いて筋トレをしたりといった悪行を繰り返し

市民の安全を脅かす悪の組織「黒薔薇団」の跳梁に耐えかねた

地元商工会が対策を行政に陳情、

紆余曲折を経て第3セクター組織として設立されたのが

北摂戦隊イバレンジャー」であった。

正義の味方には僕の思い入れもあって多くの要素を盛り込みすぎ

整理がついていないが、

「大人になりきれていない子供」を大テーマに据え、

基本的には以下の二つの軸を中心に

物語を展開させていきたい。

第一は、同僚から「仲間」へ成長する自分たち。という

内側のストーリーである。

オーディションで選ばれた「同僚以上仲間未満」という

微妙な関係のイバレンジャーが、

戦いを通して「仲間」の存在に気づき、互いを承認し合う。といった成長譚で

戦隊モノには欠かせない要素である。

当初、イバレンジャーはチームとしての未熟さから

スタンドプレーに走ったり飲み会でもヘンにぎこちない会話が続いたりするが、

第10話ぐらいになると

みんなでタクシーに乗り合わせて戦闘現場に向かったり、

まだ持っていないメンバーのためにアイフォーン発売日に行列に並んだりと

互酬性を伴った友情が見られるようになるのである。

一方、この結束は、徹頭徹尾単独で悪さをするブラックローズと

対比して描かれ、

友達のいないブラックローズの惨めさを強調するような構図になっている。

黒薔薇「団」と名乗っている悪役であるが、実際には個人事業である。

「団」と呼称するのは商標法にも違反している疑いがあるが、

「団」のように活動したい、「団」に成長させたい、という事業主の思いが

詰まった命名なのであった。

しかし、

悪=徒党を組む、イジメっ子

正義=単独、自立、スター

という従来の構図と鋭く対立するものであり、物語の進行上

イバレンジャーもこの倒錯に悩む場面は多々登場することになるだろう。

それが僕のねらいでもあり、実はこの物語の中核を占める部分になる。

ブラックローズの悪事は物語序盤では

せいぜい立ち小便をする程度の軽犯罪であるが、

それがイバレンジャーの目に留まって制裁を受けるようになると

いわゆる「構ってくれる相手が現れた」喜びで

バイキンマン的に行動をエスカレート、

誰にも見向きをされなかった以前にも増して

より執拗に悪事を繰り返すようになるのである。

「やっつければやっつけるほど悪さをする」というこの矛盾には

イバレンジャーも早くから気づき、無力感というか脱力感に

苛まれる場面が多くなってくる。

しかし現に悪事を働いている以上それらを懲らしめるのが

彼らの業務なわけで、彼らを存立せしめるための基盤は

設立母体の第3セクターでなく、実は敵である

ブラックローズにあったことが自家撞着を起こすのである。

第一話で、

歩道を自転車で走るという悪事を働いていたブラックローズは

第四十話では

日銀に侵入し不正な為替操作を行い世界各国の経済を麻痺させる。

特に被害の大きかったEUでは連鎖的にデフォルトが起こり、

解体の危機に瀕する一方、ローズは

為替で得た巨額の資金で北アフリカ諸国の反政府組織を支援、

革命を扇動するなどして大混乱に陥れるのであった。

一介のチンピラだったローズをここまでの巨悪に育て上げたのは

他ならぬ、イバレンジャーであった。

この正義と悪がお互いに依存した、爛れた関係は

第一の軸を一貫する重要なテーマである

続いて第二の軸を書きたいがホント、こんなことをしている場合じゃない。