RoseEnNoir午前零時

ギタリストRose En Noirの日常身辺雑記

まだ暑い

僕の支店は大阪でも売り上げワーストワンで

全体的にぱっとしない。

僕も初出社のときにぱっとしなさを感じて以来、

ちょっとでもぱっとするようにあれこれヒマを見つけては

ぱっとなるような作業をした。

分別できてないゴミ箱を分別した。

切れている蛍光灯を替えた。

瀕死の観葉植物に水と液肥をやった。

窓を拭きエアコンのフィルターを替えた。

お陰で僕の中では「ぱっ」度が2から13ぐらいに上昇した。

お陰で本業の総務課の仕事は発注ミスが相次いだりしたが。

人間不思議なもので、「ぱっ」度を上げる努力をすると

自然と対象に愛着が湧きヘンに当事者意識が生まれてくる。

今やそのへんの什器に僕は名前までつけて可愛がっている。

「ユンケル」「ニョッキ」「大仁田」「サザビー」「道長」「阿Q」、

これらは全てパソコンの名前である。

ところが、僕一人がいくら「ぱっ」度を上げようと努力したところで

ウチの支店は業績ワースト、新入社員だったり

他から転勤したり出向してきたりする人はみんな

「ぱっ」度がウチより高いところから来るわけであるので

例えば。

僕が箱詰めにされて埃を被っているのを発見し、

メモリ増設とOSダウングレードで何とか救出に成功して以来

手塩に掛けて育ててきたパソコン、

「斉藤」を小突きながら野々村さん、

「これオッセー。ここロクなパソコンネーよなー

 白銀台支店にはよおー(以下略)」

と、

現状に対するグチとも嘲笑ともつかないことを宣ったので

僕は思わず

「黙れ。貴様に『斉藤』の何が分かる。確かに『斉藤』いや

 ウチの支店は全体的にぱっとしない。僕を筆頭に。

 それは僕も認めるし決して現状がいいとは思えない。

 だから僕は『斉藤』達と戦っている。

 だが貴様は『ぱっ』度を上げるために何をした?

 ただ『斉藤』の前にふんぞり返っているだけではないか。

 僕は『斉藤』はじめ『ニョッキ』『大仁田』達を死の淵から

 救い、彼らに再び仕事のできる喜びを与えたのだ。

 悔しければ『斉藤』を超えるパソコンを連れて来い。

 さもなくば、大人しく『斉藤』に従え。

 戦わない奴は、去れ」

…と一気にまくし立てた次の日、

 そして次の日も

 何が来ることもなく何が去ることもなく過ぎていった。