今まで胃痛に悩まされていたのに、
ピロリ菌を除菌してから滅法調子がよい。
というのを毎日耳にしていて、
別に僕はそれほど胃痛が頻繁に起こるわけではないのだけれども、
除菌→元気!という単純で分かりやすい一連の流れが羨ましく、
僕も除菌したら元気になるかも。と期待をふくらませていたのである。
「元気である」という状態は言ってしまえば簡単だが、
それを因数分解して還元してみると、
元気というのは四重五重の要素から成り立っているもので
人工的に「元気」という状態を作り出すことがいかに困難かがわかる。
単純に、よく寝た→元気!とか、
デトックスした→元気!という結論が安易に導けないのが「元気」である。
しかし、このピロリ菌に関しては明らかに
除菌することによって胃腸が健康になり
血色も良く元気になった、という分かりやすい因果関係があり、
僕はピロリ菌を検査、もし居ればラッキー。除菌→元気!になるチャンスだぜ。
と、
N医院の門を叩いたのである。
懐かしいなあ。
かつて住んでいた高級単身者用マンショーンの隣に坐すN医院は
僕の大ピンチを救ってくれたこともある恩人、いや恩医院。
受付で「4年ぶりなのでもっかい問診票を」と言われ、
そうかドイツ大会以来訪れていないのか、と訳の分からない感慨に耽る。
あの頃僕は小学1年生向けの教材の営業をしていたんだ。
「あのう、胃が時々痛むんです。たまに真夜中に死にそうになるくらい
痛むときがあって、実際ちょっと死んでから息を吹き返すというか、
彼岸に行きかけてやっぱり此岸に戻る感じ?
…(中略)…僕は、如来ですよ」
と、
ドクターに症状を説明すると、
「そういえば昔(8年前の初診時)、肝臓に血管腫があったね、
ちょっと診てみよう」と、
腹部超音波検査をしてくれた。
ここはいつもエコー検査をして、丁寧に診察してくれる。
「ほら、ここが腎臓、で、胆嚢もきれいだね。
と、白黒の画面を指して僕に僕のことを教えてくれる。
で、ちょっと白い影みたいな影を認めたドクター、
「血管腫、薄くなってるよ。まあ心配ないね」
と、8年越しの血管腫についてOKサインをもらった。
ちょっと胃腸の動きが悪いらしい点を指摘された。
肝心のピロリ菌検査は、
「そだね、まあやってみるとよいね」
ということで検尿容器を渡された。
ピロリ菌検査は自費になるが、
検尿だけで済むので気が楽。
結果は来週には判明するらしい。
ピロリが居なければそれに越したことはないけれど、
居たら居たで、除菌→元気!になるチャンスを貰うわけで
どちらでもよい。
僕はよい仕事をしたと思った。