「いないよ。陰性だったよ」
と開口一番告げられたのは、
ピロリ菌の検査結果。
N医院を受診して早や一週間。
ワクワクしながら検査結果を聞きに行ったのだが、
「残念ながら」陰性だった。
えっなんで?菌がいないんなら良かったじゃない、
と一般の人は思うだろうけど
僕の場合は違う。
僕は前回も書いたように、
1たす1が2になる如く、
確実に僕を元気にしてくれるだろう
ピロリ菌除菌をやってみたかったのだ。
これまで僕を数多の苦難(おなか痛、近視、あがり症、
万年ヒラ社員、モテない、存在感の希薄、地方出身、帰宅部、
理数が苦手、ひきこもり、住宅ローン等)に遭わせてきた
ピロリ菌を退治せしめ、
これらの災厄を一掃することが狙いだったのである。
一週間抗生物質を服むことによって
ピロリ菌は消滅、その日から僕は
胃がきりきり痛くなることもなくなり、メガネがとれ、堂々とプレゼンし、
係長に昇進、ご婦人方にきゃあきゃあ言われ、会社の重鎮となり、
滋賀県に首都が移転し、学校教育から部活動が消滅、
偏微分方程式を解し、アウトドアを満喫、ローンを一括返済できる…
ようになる予定だったのである。
残念だ。
次のターゲットを探さねばならない。