RoseEnNoir午前零時

ギタリストRose En Noirの日常身辺雑記

落書き消し

社屋に落書きが見つかったそう。

「邪寿虎 参上」

と、

シャッターにスプレーで大書されていて

文体の特徴から察するに、

その辺に屯している若者の仕業ではないだろうか。

それはさておき、

ラッカースプレーで描かれたような

こういう落書きは何をもって消せるのだろうか。

シンナー(トルエン)とか除光液(アセトン)の有機溶剤を

真っ先に思いつくのだけれども、

条例か何かで買いにくくなったんじゃなかったっけ?

とりあえずホームセンターに。

僕はあんまり塗料なんかについて詳しくないので、

とりあえず店員さんに聞いてみることにした。

「あのうすみません」

声をかけた店員さんの名札には「店長」とあって

わあ店長なら何でも知ってるはずだねラッキー。

と喜んだのも束の間、

「いらっしゃいませ」と挨拶こそ愛想良かったが、

「あのう、溶剤というか、スプレーとかを消すやつ、ありませんか」と

本題に入った途端急にめんどくさそうな顔に。

「何それ?」といった反応だったので、

「ほら、よく落書きなんかが問題になるでしょ。地下鉄の落書き事件、

 あんなの最低ですよ。あれ消そうと思ったらまあ、シンナーとか

 そういう選択肢になると思うんですけれど、よほど丁寧にしないと

 塗装のクリアー層剥がしちゃうでしょ、でもそれくらいじゃないと

 ラッカースプレーは落ちない。本当に卑劣な犯罪ですよ。

 僕の会社もそんな連中の餌食になって、器物損壊罪で刑事事件として

 立件して貰う方針なんですけどね。ええ、その前にとりあえず

 『邪寿虎』の字は消しとかないと。ウチはイオングループじゃないし。

 だから僕はそんな犯罪に立ち向かうため今日ここに来ました。

 シャッターなので鉄部塗装の剥がれはもう仕方がないかなとも

 思いますが、たぶんクルマとかのスプレーだと思うので、

 これが落とせるような有機溶剤、ください。

 天に誓って悪用はしません」

と、丁寧に僕の意図を説明したらますます店長の顔が曇る。

「たぶん17番にあると思いますけどね」

通路番号なのか、棚番号か、後で何を見ても分からなかったけれど

僕は店長の説明に落胆して自分で売り場を探すことにした。

後で領収書を貰うときにもサービスカウンターの人に

めんどくさそうな顔をされてちょっと傷ついたね。

もちろん慈善事業じゃないし僕みたいな一見の小口顧客に

愛想をふりまく必要はないのかもしれないけど、

つまらないお店だった。

さて、塗料うすめ液のようないわゆるシンナーが置いてあったので

カゴに投入、

でも「うすめ液」という名称はちょっと不安。

僕は薄くするのではなく消滅させたいのだ。存在を。

なので、なんかメチャメチャ強力そうなリムーバーを

スプレーにしたやつがうすめ液の三倍の値段で売っていて、

切り札のつもりでこれを購入した。

さて。

「邪寿虎」の字にうすめ液を垂らす。こする。

全く変化がない。

ちょっと焦った。

これナニ性のスプレーなんだ?

仕方がない、高かったけどこの強烈スプレーを試すしかないな、

と除ろに噴射、

そしたら凄いのこいつ。

こするとみるみる「邪寿虎」が落ちていく。シャッターのクリアー層も

落ち、塗装も落ち、下地が見えた。

そうして僕は悪しき落書きを消滅せしめたのである。

スプレー四分の三ほど使ったけれども。