前回にお目にかかったのが2007年末だから、
一年半ぶりなんだけれども
某省官僚の畏友、A君と京都で気炎を上げてきました。
以前にも書いたのですが彼は僕の知己のなかでも
一番の碩学で、今回も非常に水準の高い話になりました。
某大型書店に集合した僕らは本棚をうろうろしながら
最近の関心についてあれこれ述べ合っていたところ、
彼は目下文芸批評について研究を深めているとのこと。
僕も福田和也さんとか、坪内祐三さんといったいま売れてる人らの
本を読んだり、ちょっと背伸びして東浩紀さんなんかを読んだりしていますが、
彼は専ら保田與重郎に没頭しているとのこと。
スケールが違います。
日本の保守論壇の大物(だった人)ですが、本も難しいので
僕はほとんど分からない分野で、彼から聴く話はなかなか刺激的でした。
保田與重郎文庫とか、浪漫派文庫とかえらく硬派な(しかも高い)シリーズを
なんと小学生が使う漢字ドリルとかでおなじみの新学社が出していることに
軽い衝撃を覚えました。
近代詩から古典文学、さらに遡って民俗学の話題を。
僕は反対に現代文学、現代詩しか読んでいないのでこれもまた
貴重な話を聞くことができました。
基本的に彼が立派なのは、
解説書を読んで分かったつもりになっている僕と違って
必ず原典にあたっているという点です。
さすがに外国語の文章は訳書ですが、それでも
日本古典は原文のままで読んだり、学究肌を窺わせます。
僕もしばらく日々の生活に追われて真面な読書ができていなかったのを
反省した夜でした。