『葬送』第二部読了
金曜からの不調のせいで今日も日がな横になっていたけれども、
吐き気もだいぶ治まってきたのでこれ幸いとばかりに、
一日かけて『葬送』第二部(平野啓一郎著)を、
最後まで読み了えることができました。
もう、深い感動でいっぱいです。
素晴らしいとか僕ごときが何遍言っても言い足りない、
圧倒的な名作でした。
僕は平野啓一郎さんのファンでありながら、この大著を
「(原稿用紙2500枚に亘る)長いし、難しいから」という理由だけで2005年の刊行以来
手をつけられずにいたのですが、
これを読了したことで漸く氏の著作を全て(単行本未収録の作品を除き)
読むことができて、ファンとして恥ずかしくない振舞いができそうです。
これを執筆された当時、作者はまだ27歳だったと聞いていますが、
文庫版解説の人も半分唖然としていて、僕も、
27歳でこんなの(大作)を書いてしまったらこの先どうするんだろう。と
しょうもない心配をしていました。
実際、氏はそれ以降も、僕なんかの平凡な期待を吹き飛ばすくらいの
圧倒的な技量で創作活動を続けられていますが。
僕はもう次の誕生日で30歳になるというのに特に精神的な深まりもあんまりなく、
つくづく天分というのに恵まれた人への羨ましさを感じます。
この作品に出てくる、ショパン、ドラクロワのような光り耀く天才はもちろんのこと、
その周りの人たちも含めて、なんていうか、
19世紀という時代に、フランスとかそのへんで、
人間の魂を見つめ、揺り動かし、高みへ導いていった人たちへの
感動を禁じ得ないのです。
感想について書きたいことは山ほどあるのに、
もひとつ体調がすぐれないのと、
感情と言葉との連関を重要なところで欠く僕は
相変わらず「凄い」「すげえ」「マジ凄い」といった俗な褒め言葉しか出てこないのが
残念で仕方がないのです。