先週から読んでいる藤沢周『幻夢』なんですけれど、
久々に会心の一撃を喰らった短編集でした。
収録されているどの作品も、それぞれが非常に独創的な
モチーフで、テクノからジャズまでがまるで一枚のアルバムに
収まったような感じでした。
トップの「迦楼羅(カルラ)」はその名の通り烏が主人公という
珍しい短編です。藤沢周らしいエッジの立った文体で、
まるでゴリゴリのスラッシュメタルを聴いているような。
「タケヤブヤケタ」は、近年よく書かれるようになった
サスペンス系の話。
「袋」なんかは、初期の作風を思い出させる不条理の話……。
今年はぱたっと新作が途絶えていましたが、
かなりの意欲作が出て安心もしました。
これを機にまたいろいろ作品を書いてほしいです。