RoseEnNoir午前零時

ギタリストRose En Noirの日常身辺雑記

妄念と確信と肯定、ビリー隊長から閃く

また流行の話。

床屋さんで「ビリーズ・ブートキャンプ」の話題になって、

何も知らない自分は「ああ、なんか売れてるみたいですねえ」と

気の抜けた返事をしました。

一個前のエントリでは、ブログで始まる流行のことを書きましたが、

「ビリー…」の方は、古典的?な、テレビショッピング的手法で

一気にブレークした代物です。

で、「(世界で)一千万本売れてるらしいで」と店長。そこから、

どのぐらい隊長が儲けているのかという話になり、

「7億は下らんだろう」という結論に。「もう金いらんやん」

私が関心を寄せたのは、その続きの話。

ビリーさんは「ブートキャンプ」でブレークする前は

空手のチャンピオンに何度も君臨したとかで、

要は大変な努力家、苦労を積んできた人だなあということです。

床屋らしくカットの世界大会の例を挙げて、

「グランプリをとったら、講演とかでも一回100万とかとれて大儲けなんやで」と

店長。

「でもな、グランプリをとった人が日本人でいるんやけど、

その人はそこに至るまでに2億借金をしたんやって」

……それを聞いて唖然としました。

なんでも、カットの世界大会では、モデルによって勝負が大きく左右されるらしく、

なかでもアラブ系の女性が、髪質としてもカットモデルとして一番相応しいそうです。

アラブ系の女性の頭の形がいいとかもあるそうですが、

一番重要なのは髪のクセのかかりぐあいで、それをストレートに仕立ててみせるのが

腕をアピールする見せ所なんだとか。日本人の髪質じゃダメだそうです。

で、そのグランプリの人は、街でアラブ人の女性に声を掛けてモデルを探しました。

モデルは見つかったようですが、契約を結ぶためにはその報酬だけでなく

お店の近くにアパートを借りて女性を住まわせる…といった世話までしなければならず、

そういった費用が2億に膨れあがったと。

それにしても、2億というのは半端じゃない。

私のような素人にはまるで理解し難い世界です。

この人には、グランプリ(成功)を信じる妄念めいた確信が宿っていたんでしょう。

本当に成功する人、というのは「失敗したらどうしよう」とかいう

小市民的な不安(常識とも言いますが)を持たない人なのかもしれません。

「俺は勝つ。絶対に」と頑なに信じて疑わないことが、とんでもない奇跡をもたらす…?

似たような喩えで、江島健太郎氏のブログを読んでいて気がつきました。

ぼくはいまシリコンバレーに住んで「Lingr(リンガー)」っていう完全ウェブベースのチャットを開発しているけれど、これは心の底から見込みがあると思ってる。7歳の頃からコードを書き始めたぼくの人生これまでの経験と知見を総動員して何度も何度も自問・検証してきたけれど、常時たくさん転がしてるアイデアの中でも「このアイデアだけは間違いなくいける」と、対象に対する枯れない好奇心がゴーサインを、日々のハンパなく激しい一喜一憂を乗り越えられるだけの絶対的な肯定を返してくれるのだ。

http://blog.japan.cnet.com/kenn/archives/003431.html

「日々のハンパなく激しい一喜一憂を乗り越えられるだけの絶対的な肯定」

……私も一般市民ながら、ハンパなく激しい一喜一憂を感じつつ日々過ごしていますが、

それを乗り越えられるだけの絶対的な肯定……は、まだ得られそうにありません。