『はじめての名づけ』という本を借りました。
いわゆる赤ちゃんの命名をアシスタントするガイドブックなんですけど、
これがなかなか興味深く、最近の愛読書になっています。
分厚い本の中には、名付けのエッセンスが散りばめられています。
ずらっと並ぶ名前の中に知り合いを見つけたり、凝った名前に感心したり。
「インターナショナルに名前を考える」というコーナーは感心したものですが、
べつにアンナとかケントにしろ、という訳でなく、
外国語で発音した場合、その名前がヘンな意味にとられないかと
いうことだそうです。音がその国で下品な言葉であったり、隠語であったり…
ちなみに私の名前は、フランス語においてあまりよろしくなさそうでした。
アラビア語圏で「nak」の発音が含まれる名(「ナカムラ」とか)は、かなり危険
らしく、そこに住むなら改名を考えた方がいい…というようなことが
書いていて少しくビビりました。
漢字の名前をつける人がほとんどだと思いますが、言うまでもなく
表意文字である漢字は、熟語をそのまま名前に用いる場合を除き
音とは別に、個々に割り当てられた文字の意味について考える必要があります。
まあ、言い出せばキリがないのですが、例えば女性の名前によく用いられる
「亜」という字は、訓で読めば「亜ぐ(つぐ=次ぐ)」となり、
「亜流」というように、ニセ者めいた使われ方もされます。
勿論、一つの漢字においても良い意味悪い意味の両方で用いられることは
珍しくないのであって、わざわざ悪い意味を持ち出す臍曲がりなマネは
普通しないものの、やはりその漢字のもつ意味には、一度漢和辞典にあたる
などして確認しておくのが賢明だと思われます。
この本では、こうした漢和辞典的な分析が多くを占めるのですが、それ以外にも
上の「インターナショナル…」の様に、社会的、歴史的、さまざまな面から
名づけを考察し、隙のない構成になっています。
さらに言うならば、現代の文化・風俗を記す貴重な文献としても読むことができる
一冊です。