http://d.hatena.ne.jp/keiichirohirano/20070130
平野啓一郎氏の短編集『あなたが、いなかった、あなた』が
発売されました。発売日に遅れること三日で手に取ってみて。
氏のブログで述べられているとおり、装丁はシンプルながら
なかなかカッコいいです。
作家のなかにも、著作の装幀はすべてデザイナー任せ、という人もいれば、
平野氏は比較的、装幀まで自身がアイデアを出される方の様です。
私はCDでも、書籍でもわりとそのアートワークに作品の印象を
左右されやすいタチで、凝ったデザインの本はなんとなく中身もよく
思ってしまいます。
CDでも「ジャケ買い」という言葉があるように、それだけで購買意欲を
起こさせてしまうものが究極の装幀だろうなあと考えます。
関係ありませんが、私の好きな作家、藤沢周氏の単行本の装幀は
どれも非常にお気に入りです。
『あなたが、いなかった、あなた』も、洗練された写真の使い方。
マグリットが意識されているとは。さすがです。
さて、まだ読んでいる途中ですが、短編集の構成について平野氏は
ブログで「音楽のアルバムみたいなイメージ」と述べられています。
なるほど、今回の短編集も、ぱらぱらと捲ってみて、非常に
起伏に富んだ構成です。似たような曲が延々と続くアルバムの
退屈さったらないですが、この本はそこここに刺激的な仕掛けが
隠されている気がします。
書き下ろしで収録された「鏡」という作品にはびっくり。まさか本当に
一行きりだとは……