チェーザレ・ボルジアといえば、ちょっと影のあるヒーローとして
語られることの多いイタリアルネサンス期の人物ですが、
作画の秀逸さに惹かれて手に取った当コミック。
知りませんでした。
この作品は相当に凝った時代考証と設定で、単なるエンターテイメントでない、
並々ならぬ「本気さ」を伺わせる作品です。
キャラクター設定もなかなかにエッジが立っていて、魅力的です。
歴史にあまり関心のない人でも、興味深く読めるのではないでしょうか。
とりわけ、チェーザレという主人公の圧倒的な存在感。
主人公に強烈な個性を持たせることの成否が、コミックの運命を分けることを
考えてしまいました。
個人的に、小説とは違って、私はコミックにはストレス解消というか、
ある種のカタルシスを求める傾向があるなあと感じています。
主人公が一般人で、私たちと同じように生活している庶民、という物語も
もちろん読み甲斐はあるのですが、
私としては、コミックの主人公には、我々一般人を凌駕する圧倒的な力量、
(奇しくも『チェーザレ』中でも「ヴィルトゥ」と表現されています)
別次元の存在感を期待してしまいます。
まだ2巻までしか刊行されていませんが、まだ16歳のチェーザレ。
史実ではこれからさらに勢いを増していく頃。今後の活躍に期待しています。