僕も無関係ではないので胸が痛い。
制限時速を頑なに遵守する僕の原付を
右からびゅんびゅんいろんな車両が追い越していく。
油断していると、左から
競輪の人が乗っているみたいなタイヤの細い自転車の、
スポーティな人がびゅーん。と追い越していった。
間違いなく時速３０ｋｍ以上は出ているのであって、
かなり速い。
この人とは信号で追いついたり追いつかれたりしていて、
その後僕が追い越したっきり忘れていたが、
交差点の点滅信号が点滅から黄色、赤に変わった。
そのまま通過してしまってもまあ無難なタイミングだったが、
コンプライアンスの鬼である僕はこういう場合必ず停止する。
やや強めにブレーキを引いて停車、
すると後方から
「がさーん」
という物音。
なんだろう。と思って振り返ると、
さっきの自転車の人がひっくり返っていた。
何が起こったのか分からず動揺しながら
僕も原付をスタンドに立てて、
「大丈夫ですか」と声を掛けた。
派手に転んだらしく、
信号待ちの車からも人が降りて
声を掛けに来た。
交差点を横断中の人も「大丈夫ですか」と
心配そうに見ている。
僕は被さっている自転車を起こして、その軽さにまた動揺したが
しばらくするとその人は立ち上がって
「大丈夫です」と答えた。
多くの人間に囲まれている状況がいたたまれなくなったのだろう、
僕もそれは承知していたのであまり騒ぎ立てなかった、
というか狼狽えていたのだけれども、
一応、大きなケガはされていないようだった。
状況から推測するに、
前方を走っていた僕が「急停車」に近い「停車」をしたために
追突しそうになったのが転倒の原因だと考えられて、
原因の一端に僕がいるのも後味が悪く、
どうも朝から伝票の打ち間違いとか気分が冴えない。
先日の「確率論」テーゼが
こう簡単に証明されたのが我ながら嫌になるが、
まだ今年も始まったばかり、
交通の安全を願うばかりである。
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