やれやれ。
後輩のZ君が勤務する工場は
品質管理が厳しいのか、
あるいはZ君がだらしないのか、
Z君の所属するラインが
目標の「返品率2%以下」をオーバーしてしまったらしく、
そのカドで品管部門からお咎め、
Z君は始末書を書く羽目になったらしい。
「Rさんマジ参ったッスよ」
「大変やねえ」
「マージー。オレのせいじゃないッスよ。蛸塚の野郎が」
「どうしたの」
「夜勤だっつーのにボードなんかに行きやがって」
「そんで」
「あいつウワの空でやりやがるから配線トンだ部品出まくりでさあ」
「だから返品だったんだ」
「でーしょー。で、オレいちおーライン任されてっからー品管によばれてー」
「お呼び出しやね」
「ホントQCとかウゼーってんだよ」
「なんて言われたの」
「『今月クレーム倍なのはここのせいだ』って」
「なんて答えたの」
「『ウルセー』って」
「いいんじゃない」
「いいでしょ」
つまり、ただの過失が上司の心証を悪くしたために
重過失になり、お陰で始末書を書く羽目になったZ君、
「先輩。結構、書いてんでしょ」
と、代筆の依頼を僕にしてきたのだった。
始末書を淀みなく書ける僕も僕だが、
Z君の魂が憑依した僕は
彼が心底反省している。みたいな始末書を拵えることが出来た。
彼も僕もまた明日から頑張ろう。