豚児も声が掠れているし、
僕もなんだか喉に違和感。
まずいね。
図書館。
見沢知廉『七号病室』を見つけ、
懐かしくなって借りた。
見沢さんが亡くなって5年になる。
獄中で書かれたこの人の小説は
まさしく娑婆の常識を逸脱した凄いもの。
学生時代に知ってそれからよく読んでいた。
この人の作品に時々出てくる、
「天才(狂気を孕んだ人)=メシア」論が僕は結構好きで、
トゲのないように書くと、この論は、
普段変わり者だったりして誰の役にも立たないような人間がいるとして、
彼を周囲はほどほどに保護するんだけれどもそれは種としての本能で、
いざ一大事人類のピンチ。が起こったときに変わり者の彼が
絶大な力を発揮してみんなを救う。というものであり、
小説中ではそれが真摯にも滑稽にも描かれている。
ここに書けないほど小説は極端だけれども、
一般化して言うと、いわゆる
「種の多様性」だと僕は解釈している。
血液型がみんなA型だったら、
もしA型に感染する凶悪な病気が流行ったら
人類は全滅してしまう。
が、実際はBもOもABもいるから
全滅はしないし、BやOやABの力でAを救えるのだ。
逆も他も然り。
組織の寿命は、多様性に担保されているのである。
見沢さんはまさしく傑出した天才だったし、
まだまだ秘めた力があったはずなのに死んでしまった。
残念だった。
小説を読みながらいろいろ思い返した。