RoseEnNoir午前零時

ギタリストRose En Noirの日常身辺雑記

また昇進試験

昇進試験、

昨年は12月に行われたはずだが、

今年は今日行われた。

よりによって記録的残暑の中、

面接試験だし背広上下上着着用で

臨まねばならなかったのだ。

気合十分、1時間前に着いた。

去年の敗因を

「生気のなさ」と

分析した僕は今年、

日焼けサロンに通って顔を真っ赤にし、

腕立て伏せをして肉離れを起こし、

髪を刈り上げ角刈りにした。

趣味は「サーフィン」と答えようと思う。

そんなオフショアの日。

会場に集まった他の人たちもみんな背広姿だ。

「前の人が終わったら30秒後にノックして入室」

との指示があり、28秒まで数えてこんこん「しつれいします」

 

「鼻山支店 大野 Rです。」

「あの受験番号は?」

「あっすいません。4649番です」

「どうぞおかけください」

「どうも失礼します」

「これから面接を始めるけど、時間も限られているし返事は簡潔にね」

「はい。がんばります」

「えーっと、じゃあまず、鼻山支店の特徴みたいなのを教えてください」

「はい。私ども鼻山支店は対象地域的にも大変厳しく、社平均の売り上げより25パーセントも低いです。

そらもう売掛金の回収すら危ういですよ。だから『顧客対応特命部隊』も本社から派遣されています」

「25パーセント減っていうことは、総務課も人員が増やされているよね」

「はい。僕と、もう一人います」

「年は上なの?」

「いや僕の方が上ですが総務課歴と実力は向こうの方がはるかに上です」

「そうですか、じゃあ今、総務課で一番がんばってることについて教えてもらおうかな」

「はい。僕は総務課に割り当てられた年間予算4万5千円をいかに有効に使うか、

 ということに粉骨砕身しています」

「えー、予算の有効執行、ですか。具体的にはどういうこと?」

「えっと、とりあえず必要なものを買って、いらないものは買わない。これに尽きますね。

 ウチ、ベニヤ板がなぜか50枚も倉庫にあるんですよ」

「予算って誰が使い道を決めてるの?」

「いやあ、まあ僕が欲しいものを考えて、それを課長に具申するんですが」

「じゃあその予算を使うのにどーいう工夫をしてるのかな」

「えーと、そのう、僕と課長だけで決めちゃうんじゃなくて」

「ほかの社員は?」

「だから、他の人らがコミットメントできるように、衆議院予算委員会みたいなものを召集して、

 みんなで話し合って決めるんですよ」

「どうやって集めるの?」

「そりゃあ偉い課長さんに言ってもらいますよ『アツゥマレー』ってね」

「誰が来るの?仲のいい人?」

「そんなんだったら誰も来ないじゃないですか。友達いないし。部員構成表を見て、

 ドライに各部門の担当に来てもらいます。」

「ふーん。担当、ねえ。」「どうやって進めるの」

「それは僕です。わたくしが仕切ります。」

「分かった分かった。社員の人たちとは業務外とかでもしゃべったりするんだ」

「いーやー。あまりしません。だからこちらから営業のこととかネタに

 話しかけるようにはしています。ウザがられますが」

「じゃあ、予算のは現時点の課題ということで、去年まではどうだったの?」

「ええっと、今のは会社の予算の話ですけれども、去年はまあ、社外のお金のことに

 苦しみましたよ。売掛金の回収。」

「それは今年解決したんだ」

「ええ、100パーセント去年の分は回収しましたよ」

「それはどうやって回収したの」

「そらいろいろやりましたよ。とにかくがんばりました」

「それはよかったねえ。」

(しばし沈黙)

「じゃ、時間も限られてるということで今日はここまで」

「はいわかりました。ありがとうございました」

つかつかつか。「失礼しました」

結果は当然ダメだろう。