RoseEnNoir午前零時

ギタリストRose En Noirの日常身辺雑記

真実の田舎

酒を飲んだら周囲に絡む悪癖のせいで

飲み友達がどんどん減っていく。

いや、正しくは、友達は元々いないんだけれども

友達になる前に友達でなくなるというか、

しかしこの件に関しては塩田君より僕の意見に分がある。

と思う。

一時期、「ロハス」とか「スローライフ」といった造語が流行ったけれど、

最近はあまり聞かないね。

元はと言えば、塩田君が夏休みの過ごし方について

「一ヶ月くらい田舎でのんびり過ごしたいね」

とぽろっと言ったのが発端、

「えー。『のんびり』って例えば何するのさ」

と僕。

「何もしないから『のんびり』だろ」

「オレいつも土日は自宅でのんびりしてるけどなあ」

「田舎だからのんびりできるんだよ」

「オレみたいに一日中床を這うのか?」

「お前と一緒にするなよ」

「じゃあ具体的な『のんびり』ってどういう行為?」

「そら、散歩、釣りとか、畑いじりとか、いろいろあるわ」

「炎天下で?きついなあ」

「お前はな」

「他には?」

「人それぞれだろ」

「雨の日は?」

「家で本でも読めるやろ」

「散歩、釣り、畑、読書を1ヶ月?オレ無理だわ」

「(怒気を孕んだ口調で)例えば、の話だろ」

「じゃあ他には?」

…と問うたところで彼は話題を強引に村上春樹に移してしまい

続きは聞けなかった。

大阪(都会)育ちの塩田君はまあ、恐らく

散歩、釣り、畑、読書の生活を一月間続けることに

抵抗はないのかも知れないけれど、

簡易水道しかないような山奥に育った僕にしてみれば、

上記のような生活を強いられるのは流刑、懲罰以外の

何者でもなく、

塩田君に目を覚まして貰いたい一心で説いたのだけれども

逆効果だったよう。

侮蔑する意図は全くなく、客観的意見として述べるのだけども

田舎であるほど文明の恩恵から遠ざかる、これは事実。

僕の愛する山奥では

CS放送等は制限がかかり、

インターネットはダイヤルアップと大差ないADSL。

バスは一日数本、

それに乗っても最寄りの駅まで小一時間、

コンビニエンスストアは5km先、

夜中にお腹が痛くなったら20km先の救急病院へ。

しばらく逗留するから移動は関係ない、

健康だし病院も要らないよ。という人にとって、

じゃあ余暇を楽しむための娯楽は?といえば

パチンコのみ(5kmくらい先)。

散歩はできるけど狭い範囲でアップダウンがきつく、

ハイキングと大差ない。虫にも刺されます。

渓流はあるけど浅く、夏は水も涸れるので

魚を釣れるような場所も大してない。

畑はあるけど都会のような水栓がないので

水汲みは川まで自力で行ってください。

本屋さん?最寄りで15kmくらい。

この退屈極まりない「田舎」暮らしが

性に合わなかった僕は、

大阪に出てきて本当に良かったと思っています。