RoseEnNoir午前零時

ギタリストRose En Noirの日常身辺雑記

権力の犬

府庁勤務の知人が出先機関に出向するらしく、

どこの市に希望を出そうかなあ。なんて喋っていたので

「A市おいでよ。ウチ近所だし。」と僕。

「ダメダメA市は管理が厳しいみたいだから」

「なんで?ちゃんと管理されてるならいいじゃん」

「やっぱ自由に仕事、したいだろ」

「公務員になってる時点でおかしいよ。権力の犬じゃん」

……と、言葉に品がないのは多少酒が入っていたせい。

「細かいミスでねちねち言われたらたまんねえよ」

「でも成果を上げたら評価して貰えるんでしょ」

「現場に権限がないから全部上意下達だぜ」

「そんだけ命令するってことは責任も全部負ってくれるんじゃない」

……と、やたら僕が突っかかったのも酒のせいか。

知人はおそらく「束縛」とか「服従」という意味合いで

「管理」という言葉を用いていたと思うのですが

意地悪く突っ込んだのは彼が高給取りの身分安定公務員のせい。

例えば、A公園とB公園ていうのがあるとして、

A公園は管理人が常駐、植栽も綺麗に手入れされてるけど

ポイ捨てしたらもの凄い勢いで怒鳴られるしバーベキューなんて

もってのほかのシンガポール的な管理主義な公園。

B公園はそんな細かいルールは一切ない

昔のニューヨークみたいな自由な公園。

子どもを遊ばせるならどっちか。という問いに

大半の人はA公園と答えると思いますが、

実際にB公園のような「自由」な公園は

(もちろん恣意的に「放埒」という意味合いで用いていますが)

やがて不良の溜まり場と化しゴミが散乱して

遊具のボルトは外れ放題。なんてことになるのであって、

ここに

自由を追求するほど自由でなくなる

ていうパラドックスが現れるのです。

それよかは、一見自由を制限しているA公園の方が

まだフリーダム度は高いよなあ。ということを知人に言いたかったわけです。

もちろん、しちめんどうなルール抜きで

個人の自由が顕現している世界があれば理想ですが。

だいたい、法令を根拠に仕事をしなければいけないはずの知人が

根拠の不明な「自由」とかを言い出すのがおかしくて仕方がなかったのですが、

公僕である以上法律やら条例やらに縛られるのは止むを得ないかしら。

もっとも、日常的な業務の面で

細かいことを言われたくないという気持ちは分かりますが、

例えば僕の知ってる会社はルールなんてあってないようなもので、

遅刻や無断欠勤も当たり前に罷り通るし

残業しても手当は出ない。

トイレに入っても紙がない。

雇用する側にとっても従業員にとっても「自由」そのものでした。

その点、知人の言う「管理」が厳しいところは

たぶん遅刻は許されないでしょうが、ルールに則っている以上

残業した分の手当もつくはずです。

そしてたぶんトイレに紙があると思います。

もちろん、「遅刻はダメだよ。でも残業手当は出さないよ」というのは

最悪ですが。

僕は自分で起業したりするほど甲斐性はないし、

総合職時代に身に余る権限を与えられてえらい目に遭った自分としては

むしろ多少不自由でも、きちんと「管理」してもらえるならそっちの方が

安心だなあと思います。