子どもの頃、「都市ガス」に憧れていた。
生家である山奥のあばら家は、
夏はともかく冬の厳しさといったら半端ではありませんでした。
そんな家の暖房器具から湯沸かしまで、
エネルギーは主に「灯油」。
灯油それ自体の利点は否定しませんが、
何より持ち運びに労力を要し、また扱いも時には危険です。
都会では、ガス器具が随分と普及していて、
温暖な生活を送っているらしい。と僕はぼんやり憧れていたのですが、
山奥にあるのは旧来のプロパンガスで、
火力も弱く、ご飯炊きとコンロにしか使えないものでした。
さて、大都会大阪にやってきた大人の僕、
最初に住んだ部屋は
オール電化で、これはこれで近未来的な響きで
気に入っていたのですが、
ニクロム線のコンロと、冬場にちびたいシャワーが出る
湯沸かし器の非力さはどうにも否めませんでした。
初めて僕が都市ガスの家に住んだのは結婚しての新居で。
ガス栓が「カチット」嵌ることに喜び(田舎にはホース式のしかなかった)、
おふろはじゃんじゃんお湯が出てくるし、素晴らしいと感じました。
そしていま、マンションを購入し、
部屋にガス栓がついているので(当たり前だが嬉しい)
憧れだったガスファンヒーターで瞬く間にリビングを暖めています。
また、床暖房、食洗機、おふろ場には「カワック」なんていう贅沢装備も搭載され、
僕はガスの恩恵に日々浴しながら暮らしています。
本当に幸せです。(後編に続く)