『葬送』第一部 平野啓一郎著、を読了した。
相当な長編なのもあるけど、読むのに結局何年もかかってしまった。
後半、クレザンジェとソランジュの結婚が持ち上がる頃から
勢いをつけて全部読んでしまった。
これから第二部を読みたい。
この小説はとにかく心理描写が稠密で、
何気ない会話の一つひとつに詳細な人物の心の動きが付されています。
この作者は本当に人間の感情について微分して語れる人です。
また、興味深いのは、ドラクロワやショパンなんかが語る芸術論議で、
このへんには作者の思いも投影されているような、
創作の苦悩について語るところあたりはなるほど
作者が登場人物の声を借りて語っているようでした。
僕はショパンという、純粋で世間知らずだけれどもだから故に
みんなに愛される人物についていつものようにコロッと憧れを抱いてしまいました。
ドラクロワという人は、「美の革命家」という帯のフレーズに違わない、
まさに革命的な画家です。僕は一度下院図書室の天井画を観に行きたいです。
映画、あるいは舞台に一度してほしい作品でした。