少し前に読んだんだけれども、なかなか感想が書けなかったので
ヒマないま書くことに。
町田 康さんの『外道』シリーズの続編が昨年刊行されました。
前回の『実録 外道の条件』がメチャクチャ面白く、
今度の『外道の潮騒』も期待して読んだらやっぱりツボにはまりました。
主人公「マーチダ」氏が世の中の外道に打ちのめされるていうストーリーなんだけれども、
外道といってもヤクザとかモンスターペアレントとかじゃなくて、
そのへんに居そうな普通の人たちです。
あえて作者と容易に同一化しうる主人公を設定してあるのは、
物語が町田氏の日常生活にたぶん着想を得ているからで、
仕事で出会すようなさまざまな不条理が私小説的に描かれています。
登場人物はそれぞれに筋の通らないことを言って主人公を困らせるのですが、
その様が滑稽でありつつもでも端々に怒りの感情が漏れ出していて、
笑いつつでも共感、といった不思議な感情を覚えます。
『外道の潮騒』は、マーチダ氏がTV出演を引き受けたばかりに
番組のロケでさんざんな目に遭う、という粗筋でした。
もう一つ、同時期に刊行された
『NHK 知るを楽しむ 中原中也』は、NHKの番組をテキスト化したものですが、
詩人・中原中也について町田氏が語る、という体裁をとっています。
なので、この2冊が手許にある私としては、互いを読み比べては
ニヤニヤ笑ったりしているんです。
ところで、中原中也についていままで
「汚れっちまった悲しみに……」ぐらいしか知らなかったんですが、
その他多くの詩に触れて、ちょっとファンになってしまいました。
今年はダダイストを名乗ろうかしら。