RoseEnNoir午前零時

ギタリストRose En Noirの日常身辺雑記

轟音ファクトリー1stシングル「青空地獄」を聴く

新しい年のスタートといえば、誰しも少なからず何某かの抱負を

抱くものです。うちの近い知り合いが音楽で今年インディーズ(自主流通)

でのデビューを目指すべく活動しているとのことで、それを応援する

今回のエントリーです。

http://gouon.xxxxxxxx.jp/top.html

ドメインからしてダークなイメージの漂う、その名も

「轟音ファクトリー」というバンド。語感からし

デスメタル系の印象を受けるのですが、彼らの目指しているのは

『DEATH+JPOP=DEATH POP』

(以下、斜体部分は公式ウェブサイトよりの引用)

というスタイルだそうで、バンド名から連想される、

「騒音」「雑音」という要素を全面に押し出すのではなく、

近年よく見られるアンチポップなロック思想ではなく

と述べられるように、寧ろそうした一種の音楽的アナーキズムに対する

アンチテーゼを提出している、と捉えることができます。

こうした彼らの姿勢には一定の共感のできるところでもあります。

何故ならば「リスナー受けのする」「売れセン」といった言葉を

批判的に用いがちな音楽業界においては、メジャーな人だけでなく、

プロ・アマを問わず共通して、そうした評価を嫌う傾向にあります。

しかしながら、それが一種の独善的な思い込みと化して、

クリエイター偏重主義というか、引き籠もり的音楽観の助長に

つながるのではないか、という問題意識。

そこから多分「轟音ファクトリー」の音楽は生まれたのでしょう。

関係ないですが、そのへんの問題意識というのは、

私の好きな作家、町田康氏がいろいろな作品で触れられています。

彼らのジャンルは恐らくは万人受けのしにくいところ。だからこそ

自己満足的に消化するのではなく、飽く間でも音楽活動を

リスナーとの共同作業と捉え、創造していくという姿勢なのでしょう。

純日本人な哀愁のメロディーを織り交ぜる

とあるのは、彼らが模索し、辿り着いた一つの着地点です。

1stシングルを聴くと、それがよく表現されていることが分かります。

またオーディエンス、リスナーに対して誠実さと謙虚さを

あるいは「実直」等と、こうしたバンドに似つかわしくない文言がサイトの

端々に見受けられます。これは彼らなりのジョークでもあるのでしょうが、

少なからず彼らの真摯さというのは、我々は素直に受け取って良いと

思います。限られた時間と機材のなかで作られた割にはなかなかの

完成度。ぜひお聴きください。