http://d.hatena.ne.jp/keiichirohirano/20061130/1164869939
平野啓一郎氏のブログ更新。
「普通においしい」という言い回しは日本語表現として許容すべきか?
…といった話題です。
「言葉というのは、生きているわけですから、現代人は現代人なりの
必然によって、好きなように工夫して言葉を遣えばいいわけです」と
述べられていますが、私も共感を覚えました。頑迷固陋に昔ながらの
言い回しを固持する態度には、常々距離を感じていましたから…
平野氏はこの点に関してわりと柔軟で、以前、京都の景観論争について
書かれていたときには、「昔ながらの」景観にこだわり続ける人に対し
「一体、いつの時点の、どんな景観のことを言っているのか?」……と
いうような反論をされていました。京都の町家にしろ、ある時代の一つの
通過点でしかないともいえるわけで、どういう基準でそれを京都の
あるべき景観と定めているのか案外無頓着だったりするのかもしれません。
景観の話もそうですが、今回の言葉の話も、有機体としてのそれに対する
敬意を感じました。明治を彷彿とさせる、難解な言葉を用いられる小説の
作者にしては意外な意見でもありますが、興味深く拝読しました。