RoseEnNoir午前零時

ギタリストRose En Noirの日常身辺雑記

読書案内(その2)

嫌われ松子の一生山田宗樹

○現実の奈落というのが実はそこかしこに

口を開けていて、我々を待ち受けているということ。

○だが、そこに嵌るかどうかは、運不運では片付けられない

ある種の必然性が宿るということ。

○虚無の深まりの果ての別世界、という甘美な夢想。

読み了えて考えてみる。この物語が果たして松子の

「居場所探し」のロード・ムービーだったとしたら、

我々はどんな解答を松子に与え得るのかと。

荒川のアパートでは当然無ければ、北海道、

あるいは南新地、それとも大野島……か。

松子の一人称の語りに、つい同じ景色を重ね合わせたくなる作品。