呆然としながら電車に乗った。
二日間缶詰になって民法の講義を受け、
僕としてはほとんど居眠りもせずに頑張って勉強した方だと思うけれど
それは研修の最後にテストがあるから。
テストに合格しないと研修修了のお墨付きが貰えないのである。
しかしテストといっても、講義中に
「ここは出ます」「重要ですよ」と
親切に講師の先生が出題を予告するという、
「通す」ためのテストである。
だから僕も当該箇所はもれなくチェック、
準備をしてテストに臨んだのだけれども
驚いた。
ついさっきまでの講義で言われてたことが
思い出せない。
正確には全く思い出せないのではなく、
僕が眼鏡を外したときのようにぼんやりとしか
記憶を再現できないのである。
つまり、講義の内容がちゃんと頭に入っていなかった。
ということである。
当然、テストの内容はムチャクチャ。
テスト結果上位何割かが研修修了に認定されるそうなので、
僕は未修了、
二日間会社に迷惑をかけて講義に臨んだのに
全部パア、
そうやって僕はいつも与えられたチャンスを悉く潰しているのだ。
自分の阿呆さに背筋が凍る。という珍しい経験をした。
本気で自分の思考を心配したのも初めてである。
ぞっとする。今朝はまた4時に起きて勉強することにした。