保育園からの帰途。
ぴぴー。ぴぴー。
ぎゃああ。と僕の膝にしがみついた豚児。
マンションの前の交差点で
おまわりさんが交通違反をした輩を捕捉していたのであった。
ここの交差点は見通しも悪く、
東西への通り抜けについて一旦停止が設定されている。
だが、住宅街の中の狭隘な道にも関わらず
停止どころか減速すらせずにびゅーん。と
通り抜ける車両が多く、
マンション住民の僕と豚児はいつも恐怖に戦いているのである。
そんな住民を危機から守るべく、大阪府警が遂に動いた。
ぴぴー。ぴぴー。ちょっと止まりなさーい。
次々とトラップにかかる違反車両たち。
「いつもは止まってるんやけどなあー
たまたま今日止まらんかっただけやけどなー」
見苦しい言い訳をする犯人。
実に痛快な現場であるが、
豚児はおまわりさんを見て怯えている。
なぜか。
それは僕が普段、
豚児が悪さをしたときに
「あーあ。やっちまったな。刑法二百四十五条の
『好嫌罪』が適用されるよ。これで47回目だから
もう執行猶予はつかないね。じきに司直の手が伸びる」
……と、大阪府警を引き合いに脅しているからである。
しがみつく豚児に、
「今日保育園で悪いことしたんだろ。ほら
おまわりさんが捕まえにきたよ」
と言ったら、
「してない」と頑なに拒否をしていたが、
本当だろうか。