凍っている。
恐ろしく冷えた冬の朝。
出勤を躊躇う月曜日である。
日本海側と違って雪こそ積もっていない。
大阪の底力である。
が、
路面が凍結している。
簡単に融解しそうにない。
僕は原付のスピードをいつもより落とし、
さらに「子供乗り(両足をつけながらずるずる走る」を
しながら片道7kmを走った。
みっともないがやむを得まい。
まだここで死ぬ訳にはいかんのだ。
そしたら、だ。がさーん。
デジャヴだろうか?
つい先週、僕の後ろを走っていた自転車が転倒した。
というエントリを書いたばかりだけど、今日は
原付がこけていた。
今度はおねえさんの原付である。
原因は明らか、この凍結した路面である。
まずい。これは痛そうだ。
慌ててVOX号を路肩に停め、
自分もこけそうになりながらおねえさんのところに
駆け寄った。
今回は僕は事故の発生に関与していないこともあって
僕は遠慮無く助けに行ったのである。
「大丈夫ですか?くらあまずい。
足とかひねってませんか?まずは原付を起こしましょう。
え?いいって?遠慮は要りませんよ。
僕もこういうことがあろうかと今日は早めに家を出ましたから。
え?大丈夫?無理しちゃダメですよ。
僕もビーノでこけたことがあるけど、しばらく動けなかったですよ。
え?もういいって?いやいや後になって疼いてくることはあります。
特に内蔵の」
そこまで喋ったところで、
「もうホント大丈夫だから」
と言い残して再び原付に跨り、おねえさんは去っていった。
僕はおねえさんの後ろ姿を見送りながら、
安心を覚えると共に一陣の冷たい風が吹き抜けていくのを感じた。