夕食。
「今日のうどんはおいしいよ。
讃岐うどんだから」
妻がもらってきてくれたらしい。
「
讃岐うどんはコシがあるね」と妻。
「ところでうどんって
讃岐うどん以外に何があるの?」と僕。
「さあ」
例えばラーメンなんかは、
札幌ラーメンとか
喜多方ラーメン、博多ラーメンなど
ほとんどラーメンを食べない僕なんかでもいくつかは
地域ブランド名が浮かぶ。
しかし、同じ国民的な麺類であるうどんは、
「讃岐」ブランドのほぼ一人勝ち状態なのである。
名古屋の
きしめんなんかもうどんとほぼ同じに思うけれども、
名称
からしてやはりうどんとは区別するべきだろう。
「薩摩」といえば芋。
「讃岐」といえばうどん。というように、
その
知名度は絶大である。
そこで僕は考えた。
「讃岐」の独占状態にあるうどん業界において、
新たなブランド、そう例えば
「芦屋うどん」とかを立ち上げてはいかがだろう。
「芦屋」にしたのは勿論地名そのものにブランド力があるからである。
「芦屋なんてうどんと関係ないじゃんか」という
批判が聞こえてきたが、
じゃあこの人は
「堂島」ロールの成功をどう説明するのだろうか。
堂島こそ元はと言えばただの米市場であり
ロールケーキとは縁もゆかりもない場所である。
同様の理屈で
「
東京ばな奈」のヒットも肯定されるだろう。
「マニラばな奈」である必然性はないのである。
「芦屋うどん」
これは僕の思いつきの中でもかなりヒット確率の
高いものに違いない。
「
讃岐うどん」の独占に倦んだ人たちが
新ブランド「芦屋うどん」の登場に沸くことは間違いない。
「
讃岐うどん」は長年ライバル不在でトップに安住し、
今や油断も隙もありありな筈である。
その間隙を縫って颯爽と「芦屋うどん」が登場する。
庶民食といううどんのイメージを覆す高級路線で、
高単価で利益率の高い商売をするのである。
トップシェアまでは奪えなくとも、
うどん市場に3割食い込むことができれば大金持ちである。
また、競争によってうどん業界そのものが活性化し、
パイが広がることも予想される。
これは讃岐サイドにとっても悪いことではない。
明日から僕は、
芦屋うどん開業のための資金集めを始めることにする。