RoseEnNoir午前零時

ギタリストRose En Noirの日常身辺雑記

甦るカワックと大阪ガス

僕は猛烈に反省、

略して猛省している。

カワックが昨日壊れた。

そもそも「カワック」と

呼び捨てにしている時点で既に

僕のスタンスは間違っていて、

「カワックさん」と敬称をつけるべきだし

それに見合う扱いをせねばならなかったのだが。

いまのマンションに越して早や3年。

山奥から出てきた僕としては

マンションに備えられた充実装備に目が眩むような思いだった。

なかでも、最も驚いたのがこの

浴室乾燥機カワックさんであり、

ひとたび電源を入れるともの凄い熱風が吹き荒れ、

瞬く間に洗濯物を乾かしてくれるのである。

さすが都市ガス、大阪ガスである。

それからというもの僕は

ヒマさえあれば洗濯機を回し

じゃんじゃんカワックさんに乾かせた。

嬉しかったのだ。もともと洗濯が趣味でもあった。

しかし、物言わぬことを良いことに上記の通り

酷使した結果、昨日のようなことになったのである。

僕は一晩中配電盤をいじったり

風呂場の天井を外したり祈ったりしたが

カワックさんは動かなかった。

換気扇も回らなかった。悲しかった。

やむなく大阪ガスさんに助けを求める電話をした。

「あのう、カワックさんが動かないんです」

「それは大変ご迷惑をおかけし申し訳ございません」

「こちらこそ御社の製品をこのようなことにしてしまい

 反省の念に堪えません」

以前もそうだったが、

大阪ガスさんは100%僕が悪い事件事故にも

非常に丁寧な対応をしてくれる。

「共感」はカウンセリングの基本であるが、

僕のカワックさんを失った悲しみに

電話の女性はいたく共感してくれた。

すぐにサービスショップの人が来てくれるという。

しかし会社をすぐには休めないので夕方に来て欲しい、

と要望した。

「(出張費)3000円程度に、夜間割増料金が3割ほど

 かかります」

とのことだった。

 

僕はこの時点で天文学的な修理費を予想し

また別の悲しみに苛まれていた。

3年前からの給与減額で貯金が底を突いたいま、

手許にあるキャッシュはあれしかない。

祝言を挙げる弟への祝いである。

もし大がかりな修理となればここから支出せざるを得ず、

金封はキャンドル、いやガスの炎となって消えるのである。

やむを得まい。

大阪ガスサービスショップの人もこれまた丁寧で、

ウチに来て貰う前に二回も電話をくれた。

僕は今日会議に遅刻するという大失態を犯したが、

サービスショップの人は約束の時刻通りに呼び鈴を鳴らした。

さすがである。

僕がやったように風呂場の天井を外し、

あれこれ作業されている。

思いの外大変そうだ。まずい。

作業が終了し、僕は故障の全容を知ることとなった。

ダイレクトな原因は、電源基盤のヒューズが切れたこと。

カワックさんは文字通り「キレ」たのであった。

これは当然に過度の電圧がかかった証拠で、

なんでそんなことになったかというと、ファンに負荷がかかりすぎて

モーターがぎゅんぎゅんになったかららしい。

「やっぱり僕がカワックさんを酷使したからなんですね」

「いやそんなことないですよ。機体のもともとの不良だったのかもしれませんし」

「反省しています。これからはもっとカワックさんを大切にします」

「そうですね。フィルターの掃除は時々してもらうといいですね」

このおじさんも僕を責めることはしなかった。

大阪ガスとその関係の人はみんな優しい人ばかりだ。

おまけに、基盤とモーターは大阪ガスさんの負担で交換してくれた。

僕の落ち込み様を見てアドリブでしてくれたのかもしれないが、

お陰で弟に鯛砂糖の一個でも買ってやれそうなものだ。

本当に有難いことである。

僕はまたカワックさんと生きてゆく。