RoseEnNoir午前零時

ギタリストRose En Noirの日常身辺雑記

第五小学校の特別支援教育

妻がケータリングで出入りしている小学校。

そこの話を聞いて大層感心した。

高槻市でもその第五小学校は「特別支援教育」の研究校として有名で、

僕も総合職の頃から時々聞き及んでいたんだけれども、

名前だけの研究校と違ってちゃんと内実が伴っている。

名前だけの研究校というのは、なんか発表会とか

そういう時だけ取り繕って、日常生活はだらしがなかったりするところ。

僕が感心した話は、どこの学校でもしている、

校長先生とかのありがたい講話のある朝会。

ここはプロジェクタでプログラムを表示しながら行っており、

妻はそれを見かけて驚いたんだという。

無論、プロジェクタで何かを映すことなんて簡単なことだけれども

学校現場というのは一般人の想像する以上にアナクロで、

テレビにファミコンを繋げる人の方が少ないくらい。

特別支援を要する子どもに指示を出すときは

聴覚だけでなく視覚を伴うことは基本中の基本、鉄則。

「いま何をやっているか」「次に何をするか」ということを

文字通り明示することで子どもは安心し、行動できるんですね。

よく、「○○やって、それができたら△△やって…」などと

必死に説明している先生がいますが、

同時に黒板に段取りを書いておくだけで

随分と子どもの動きがスムーズになるもの。

こうやって、朝会のたびにプロジェクタの用意とかいちいちめんどくさいけど、

日常的にこーいう工夫をしているなら、きっと他のとこでも

同様の努力が見られるだろうと思うのです。

話は逸れますが、第五小学校の「学校だより」がなかなか踏み込んだ内容で

これまた感心。

僕は、「自ら学ぶ子」とか「心の教育」とか訳の分からない、

風呂敷を広げすぎたようなスローガンが嫌い。

こんな、ぼんやりしたのを標榜するところに限って

やる気のない子とかイジメが多発する学校だったりするとかしないとか。

しかし、第五小学校の学校だよりはそういうお題目を排し、

徹底的に具体に迫っていることが異色。

ぬるま湯みたいな挨拶は手短に、

あとは「学校のきまり」を微に入り細に入り保護者に訴える内容で

新学期のインパクトは抜群、

校長の意思表示がはっきりとなされています。

「バレンタインのチョコのやりとりは禁止」

シャープペンシルは何年生以上」

……そんな、一見些細とも見えるルールがびっしりと書かれているのです。

僕が偉いなあ。と思うのは、

学校だよりを見た妻もビックリしたそうですが、

普通ここまで縛ると保護者からの反発というのはなかなかあって、

それを恐れて普通の学校はそこまで明らかにしないと思うのですが

これができるのはきっと、校長がそういうネガティブな声に対し

きちんと説明するだけのぶれない軸と胆力をもっているから。

子どもの狡猾さというのは、子どもを天使と信じ込んでいる人に喋っても

分かって貰えないものですが、大人の言動に少しでも

曖昧な点や矛盾があると、そこを突いて

ルールの逃げ道を作ってくるのが子ども。

「学校にいらない物はもってこない」

いらない物って何?

でも、第五小学校にははっきりあれ、とかこれ、と示されているし、

それらに学年間の一貫性も保たれています。

これを年度初めにばばーん。と示すことが

残りの12ヶ月をどう左右するかは学校の先生ならよくわかると思います。

でも、一番羨ましいのは、

プロジェクタにしろ、学校だよりにしろ、

こういう難しい目的を共有できる先生たちはきっと

一体感あるまとまった組織であることで、僕もそんなところで働きたいなあ。と

思ったのでした。