RoseEnNoir午前零時

ギタリストRose En Noirの日常身辺雑記

友人の上司#3

N君に会う度に「友人の上司」にまつわる新ネタを得ることができ、

いまはブログが本になったりする時代、もしかしたらこのシリーズも

誰か(出版関係)の目に留まって書籍化…なんてことを夢想してみたりも

するんだけれども、でもまだ3回目で単行本にするにはまだまだ分量が足りず、

N君とその上司にはもう少しがんばってもらいたい。

しかしながら、物語のクライマックスともいうべきカタストロフィが意外に早く

訪れたようで、山場を迎えてしまったら今後どうしたらいいの。

今日もいつものように仕事帰りにミスタードーナツで一服していたら、

レジの方からフレンチクルーラーやらオールドファッションなんかを山積みにした

N君の姿が現れたので「よお」と声をかけました。

彼は酒好きの割に甘い物が好きで、特にミスタードーナツに関しては

やたらクーポン券なんかも持ってて造詣が深く

僕ら仲間内で「忘年会をしよう」と話のノリで相成ったとき、

「じゃあ○○のミスドがいいよ。飲茶もあるし」と、限りなく冗談に近い本気を述べて

周囲があっけにとられて以来N君のあだ名は

「ミスター・ミスタードーナツ」になったのですが、

長すぎたためか自然消滅しました。

「甘い物でも食わないとやってられねえよ」

ショコラなんとかを頬張りながら、先月来の経過について彼は語ってくれました。

物語の終焉を予感させる出来事、それは、

係長についてのグチを誰彼構わずまくし立てていた彼ですが、

上司に対しても同じくで、彼の課の課長代理にもさんざん係長についての

悪口雑言を述べ立てていたようです。

ところが、その課長代理はなんと酒の席で、おそらく箍がゆるんでいたのでしょう、

係長本人に

「N君から斯様なる異議申し立てを受理した。貴君の部下に対するかかる横暴、

課長代理として厳正に処したい」と、説教を垂れてしまったのでした。

隣で楽しく飲んでいたN君はその瞬間、座敷が賽の河原になり、

三途の川が波打つ煌めきまではっきりと見えたそうです。

しかし、係長もさすが大したもので、薄笑いを浮かべながら

「N君がそんなことを言ってましたか。ほほほ」とおっさんがにやにやするばかりで

その気味の悪さのあまりメデューサ伝説のごとく石化してしまったN君でした。

僕もそのエピソードにはさすがに驚いて、目の前のN君の身を案じたのですが、

それが一月前の出来事だというので、風化の兆しを感じちょっと胸をなで下ろしたのです。

もちろん、係長との関係は悪化する一方で、

役員が直々に新人を鍛える研修の場で出されたこんなお題

「銀行員として大切にしたいこと」。

他の新人が

顧客満足」「コンプライアンス」「リスクヘッジ」「キャッシュフロー

キャピタルゲイン」「元本保証」「為替差益」「銭」 ……等々、

銀行マンらしいことを次々発表する中、N君は

表現の自由と発言したそうです。

役員の人たちもこれには事情を知ってか知らずか苦笑していたようですが、

後日、支店長からまでも

「ワシにできることがあったら言いな。なんとかしてやるから」と

本気で励まされたそうで、

これは支店全体の問題になってきたようです。