RoseEnNoir午前零時

ギタリストRose En Noirの日常身辺雑記

友人の上司#2

先日のエントリで友人の上司について

やや告発気味に書いたところ、予想外の反響があったようで

N君に向けて全国から応援のFAXが……とは大袈裟ながら、

彼は何人もの人たちからの励ましをもらって

勇気づけられたようでした。

その中に、一通「私も同じような境遇です。一緒にがんばりましょう」といった

女性からのメッセージがあり、それを見たN君は、

他のとは違う、優しく熱い感情が胸に兆すのを覚えたようです。

げに貴きは人の情けかな。しかし、N君と同じような境遇の人が

他にもいるというのは一体どういう企業体質なんだろう?

N君とは勤務先が近いこともあって、駅とかミスタードーナツなんかで

しょっちゅう顔を合わせるのですが、話題はいつも係長のことになってしまいます。

「マジ、会社(銀行)やめたい」と漏らす彼に、

「せっかく希望して入った銀行なんだから頑張れよ。第二地銀だけど経営体質は

しっかりしてるし、やめたらもったいないよ」と、ありがちなアドバイスをする僕。

昨日彼はひとしきり係長の「検閲」における違法性について主張していたのですが、

たとえば「レポートを書いたら必ず盗み見られるんです」というN君。

「まあ、部下のレポートに目を通して適宜指導するのが上司の役目なんじゃないの」と

宥める僕に対し彼が言うには、

合理的な校正ならともかく、およそ一般的に見て妥当性を欠く指摘ばかりなんだとか。

「オレは『しかし』より『けれども』の方が好きだなあ」といった

個人的な嗜好の押し付けとか、

「ここで『他山の石』という慣用句を使うと文章に重みが増すよ」といった

古くさい文体へのこだわり、

彼が「就中(なかんずく)」とうっかり書いたがために

「キミはシュウチュウの出身か。オレはあの中学の奴らが許せなかったよ」という

間違った追想にまで付き合わされ、

挙げ句の果てに

「この単語はシニフィアンシニフィエが乖離している」といった訳の分からない指摘をされ、

ここに至ってさすがにN君もキレて

「僕は芥川賞を目指してるんじゃありません」と吐き捨てたのだとか。

しかしながら、こうしたお節介な人というのはどこにもいるもので、

僕も後輩がこれからできるであろう年齢、

N君の係長を他山の石としなければならないと心の中で誓ったのでした。