銀行に勤める友人のN君の上司はひどく横暴らしく、
度々「あの係長が…」という相談を受けます。
そんな彼に対し僕は、
「右の頬をぶたれたら左の頬を差し出せ」
「一やられたら十やり返せ」等、
回答をするのですが、なかなか関係は改善しないようです。
その横暴さはいろいろなバリエーションがあるらしく、
その、拳骨を食らわせたり怒鳴ったりというパワハラではなく、
どっちかというと、ちょっとイジワルというか、
たとえば、予め答えられないと分かっているような難問を出して
こちらが狼狽している姿を鼻で笑う、といった
恰もスフィンクスのごとき卑劣な所業だそうです。
つい先日も、行内研修で先日来の世界同時株安についての講義があり、
その中で企画経営部長が発言した
「MOF担」という言葉を引き合いに出して
「なあN、お前MOF担って意味分かるか」と問い質し、
案の定N君は
およそ的外れな回答をし、係長の策略通り嘲笑の的になったとのことでした。
「あのバブル野郎」とそのエピソードを怒りに打ち震えながら
僕に話してくれたN君ですが、確かに同情すべきなのは
日本がバブル景気だった頃はまだN君は幼稚園児だったのであり、
その頃の業界用語だった「MOF担」なんてまさか知る由もありません。
それを分かっていながら敢えて問い質し、
無知を嘲笑う。まったくもって非道の輩です。
ところで、無知といえばお恥ずかしながら、
僕はいままで、ほらよくネジとかに書いてる、
「φ12mm」とかの「φ」の読み方を知りませんでした。
誰かに聞くのも恥ずかしいし面倒なのでいままで
放置していたんですが…
今日、商品の発注書を書いていてこれの入力に悩み、
同僚と一緒に調べたところ、なんとめでたく判明しました。
これは「直径」という意味なんですが、
ギリシャ文字の「φ(英語読みでファイ)」と混同されつつも
正しくは「まる」と読むんだそうです。
N君もその係長には今度、納品書を見せて
「この『φ』って、一体なんて読むんですか?」と意地悪く尋ねてみても
いいかなと思うのです。